★★★AUSTRALIA★★★
中学校3年生の夏休み前最後の登校日、たくさんの配布物に混ざって、
「苫小牧市こども国際交流事業 中学生オーストラリア派遣団」というパンフレットが配られた。
内容は、苫小牧市内の中学校から各1名ずつ選出し、
参加費一割負担(¥3万!)で
真夏のオーストラリアへ行き、ホームステイや地元の学生と交流会をするいうもの。
しかも選考は作文のみ。
渡航期が中学校3年生の冬休み=受験直前、というのがネックではあったが、
「高校に落ちないこと」を条件に、両親からも応募の承諾をもらい、私は作文を提出した。
この頃からある事ない事ハッタリをつらつら書くのが得意だった私は、当時生徒会役員をしていた事も有利に働いてか、
数週間後、本当に明野中学校の代表として、オーストラリア行きの切符を手に入れた。
それから1月の渡航までの間、週に1回市役所で事前研修というのがあり、
英会話の勉強や現地へ持っていくプレゼント作りなどをしつつ、他13名の仲間と親交を深めていった。
(左)第1回事前研修。ちょっと緊張気味。(右)科学センターで、お土産の木工パズル作り。科学センターってあたりが市の事業っぽい。
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そして1月7日。ついに私たちはオーストラリアへ向けて発った。
初めての成田空港で、やけに近未来を感じ「藤子不二夫の描く22世紀は間違いない…!」と一人確信し、いざ飛行機へ。
初の国際線。
出てくるおつまみ、パックされたオレンジジュース、上質のイヤホン、アイマスク…出てくるもの全てに感動し、
結局私は機内で一睡もする事が出来なかった。
興奮のあまり、深夜に機内をウロウロしてると、スチュワートさんがコックピットへ案内してくれた。
ボタンだらけの狭いコックピットに感動し、
コックピットを出てからも、さらにウロウロウロウロしていると、雲の上に朝日が現れ始めた。
少しずつ光を増していくその光景に、また感動し、
オーストラリアに着いた頃には私のテンションはマックスを超えていた。
(左)スチュワートさん。客室乗務員に男性がいるのを初めて知った。(右)コックピットの中。
★★★★★MELBOURNE★★★★★
シドニーから国内線に乗り換え、最初の目的地メルボルンへ。
時間はすでに昼だったので、一行はイタリアンレストランへ。
そこで私はパスタもそこそこに、店員のお兄さんに目を奪われてしまうのであります。
中学生の頃からすでにこの兆候はあったらしい…。
他の女の子もみんな「カッコイイ!」と盛り上がるのだけど、
たくましい体格に、キリッと引き締まった目元、どことなく寡黙そうな雰囲気にみんな声をかけれず…。
と、まぁそこで切り込み隊長になったのは紛れもない私でありました。
「え…エクスキュースミー…」
一緒に写真を撮りたい、と声をかけると、お兄さんはとっても素敵なスマイルを見せてくれました。
そして、ここから始まってしまった、「旅の恥はかき捨て」私のイケメンジャーニー…。
(左)イタリアンレストランの看板 (右)そのお兄さん。実物はもっともっとカッコよかった…!!!
腹も心も満たされた昼食の後、私たちはメルボルンの市内観光に出た。
当時の私の日記によると、
『オーストラリアは時の流れがゆっくりしている気がする。
奇抜なファッションの人はいないけど、みんな個性があって、人に温かみがある。
車も多いけど、市電がすごくいっぱい動いていて、街がほのぼのとしてる感じ。
何より、緑がすごく多くて、広い。至るところに木が植えてあって、大きな公園が多い。
芝がブァーって広がってて、人々が敷物の上でお弁当を食べていて、小さな子供が走り回ってて。
日本みたくせかせかしていない空気がすごく気に入った。』
だそうです。
だてに小5から日記つけてないですから。エッヘン。
(上)キャプテンクックさんと。右は彼のお部屋(だと思う)
(左)フィッツロイ公園内の植物園にて。 (右)州議事堂前。これより奥には入れない。
(左)リアルト展望タワーからのメルボルン市街。「緑が何より最優先される」街づくりなんだとか。
(右)タワーは風が強かった!添乗員の小板橋さん。「コイタさん」と親しまれていた。
市内観光の後は、ホテルのロビーにて、それぞれのホストファミリーとのご対面。
着いて早々、私たちは2名ずつのペアになり、2泊3日をホストファミリーと過ごすのだ。
私の相方は1年生の智美ちゃん。
ホストファミリーは、2人暮らしの老夫婦。
どうやらよくこうした受け入れをしているらしく、冷蔵庫にはたくさん写真が貼ってあった。
案内された部屋はピンクで統一されていてとっても乙女チック。
大きなダブルベッドがデデンと置いてあり、なんだかテレビで見た部屋みたい…!
ひと休みすると、庭でバーベキューが始まった。
Dadが焼いてくれる中、私はMomと、近所に住んでいる息子夫婦の奥サマと、昼間のレストランのウェイターの話を始めた。
「今日の昼に寄ったイタリアンレストランのお兄さんがね、すごくかっこよかったの」
「どう格好良かったの?」
「美穂はどういうタイプが好きなの?」
「絵に描いてみてよ!」
「やっぱり男の人は強くないとダメよねぇ!」
「レストランに行って見てみたいわ!」
…このネタは予想以上に盛り上がり、イケメン話が好きなのは全世界共通なんだな、と感じたのでした。
(左)私たちの部屋。かわいかったなぁ〜。 (右)オーストラリアンハットをかぶってBBQを手伝う私。
翌日は、昼から「パーティー」があるから行きましょう、という事になった。
何目的のパーティーなのかはよくわからんのだが、
会場となった誰かの家の庭?には30人近い人が集まっていて、それぞれ話に花を咲かせていた。
そもそも「パーティー」というものに馴染みのない私たちは、
どうして良いのかわからず、ただ席についてニコニコ周りを見ていたのだが、
…これは積極的に行かないと損だ…!
というわけで、智美ちゃんと行動開始。
隣の席に座っていたメイグンという21歳のお姉さんと話したのをきっかけに、
会場をあっちへこっちへと走り回り、たくさんの人に声をかけ、持ってきたノートに、メッセージをもらった。
(左)後ろのお姉さんがメイグン。気さくで素敵なお姉さんだった。
(中)左がウェンディ、右がカンダス。もぉなまらかわいくて持って帰ろうかと思った。
(右)向こうの人はみんなサングラスをしてる。そして似合う。
(左)かわいいお婆ちゃん2人。日本に来た事があると言っていた。
(中)「僕もそれに書いていい?」と寄ってきたアンドリュー少年。彼は間違いなくイイ男になる。
(右)「オーストラリアを車で一周したんだ」と言って写真をくれた夫婦。ステキ☆
(上)頂いた写真。左はカンガルー、右はクロコダイル。野生ってすごい!さすがオーストラリア。
パーティー、といっても、それぞれが自由に話を楽しんでいる感じで、特にみんなで何をするわけではないのだが、
それぞれが帰る前には、必ずみんなの席を回って、「楽しかったわ」と挨拶して回る。
“自由”といっても締めるとこはちゃんと締めててイイなぁ、なんて感心すると同時に、
生まれて初めてのハグ&キスのお別れに、ちょっとドキドキ。
大満足のパーティーが終わり、夜は映画鑑賞へ。
モチロン字幕なんてない。
「エバーアフター」という現代版シンデレラのような話で、全部は理解出来なかったけど、
たまに他の観客と同じところで笑えたり、中学生にしたら随分頑張ったと思う。
(左)映画の前に、バーベキュー。近所にステイしていたメンバーも一緒。
(右)私の隣はクランシー。ちょっとハリソンフォードに似ていて、すごく素敵だった。
ホームステイ最終日は、Momが買い物に連れて行ってくれた。
果物や野菜がパックされずにゴロゴロ並んでいるスーパーを眺めて、外国を感じる。
他にも服やアクセサリーを見て、ショッピングを大いに堪能した。
そして実は、この日の夜を以ってホームステイは終了。
実際始まるまでは、2泊3日も英語で過ごせるのかな…と不安でならなかったのだけど、
ここに来てみると、あまりにあっという間だった。まだまだ居たい。まだまだ話したい。
お別れの事を考えると寂しくて、荷造りをしながら先走って一人で泣いてしまった。
そして、泣きながら荷造りをしていると、Momが部屋に入ってきた。
急いで涙を拭く。
Momは、「これは古くて貴重なものだから、大事にとっておいてね」と、
オーストラリアの古いコインを2枚手渡してくれた。
…ジーン…
結局私はお別れ会の前に、Momの前で泣いてしまったのでした。
お別れ会の会場で、他のメンバーのホストファミリーも交えて最後のディナー。
この時の食事が、なまらまずかった事だけすごく覚えている。
というか、前日までの2日連続のバーベキューも、何せ肉はオージービーフですから、
やっぱり正直あまりおいしくないわけです。
「きっと彼らはこの肉しか知らないから食べれるんだ…一度日本の肉食べたら、2度とこんなの食えんぞ…」
と思いながら食べていたものです。やはり大陸面積同様、味も大きいんでしょうかね。
そんなこんなであっという間にお別れの時間。
「今度一緒にTO TO's(カッコイイ兄ちゃんのいたレストラン)に行きましょうね!」なんて言ってお別れ。
私はボロボロ泣きながら「あぁ、もっと英語話せるようになって、絶対またここに来る!!!」と心に誓った。
帰国後すぐに、写真と共にお礼の手紙を送ったんだけど…返事なし…
意外にクールなのかな、オーストラリアの人って…。ま、受け入れ慣れてたみたいだしな…ウン…
(左)ホテルでのお別れ会。結構ちゃんとしたディナーだったんだけど…(中)ペットのシャム猫トスカ。(右)Dad&Momと。
翌日はクイーン・エリザベス・センターという老人介護施設を訪問した。
老人ホームとは思えないような明るい造りの広々とした建物に驚いたと共に、
そこで働く人のほとんどは、国の厳しい審査をクリアしたボランティアの人であるという事を聞いて、感心。
色々突っ込めばもっと興味深いところではあったのだろうが、
何せ昨日までのホームステイが素晴らしかった事と、その疲れがドッと来ていた事もあり、
この日はあまり印象がないままに過ぎてしまった。
この後国内線でシドニーへ移動して、ホテルで休息。
確かみんなで集まって有料のアダルトチャンネル見たり、なんか悪い事をした記憶だけあったり…(汗)
(左)メルボルン⇔シドニー間の飛行機。 (右)面白かったスチュワートさんと。
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